技術情報
ブレーキに関する知識
ブレーキパッド編
パッドの摩耗(減り)について
よく「スポーツパッドはノーマルパッドより減りが早い」と言われますが、これは正解でもあり、また間違いでもあるのです。その理由はブレーキパッドの摩耗(減り)がその使用温度によって大幅な違いが発生するからです。下記グラフに時速80Km/hから0.4Gのブレーキングを温度別に各1,000回行った場合の摩耗(減り)量をノーマルパッドとスポーツパッド(弊社M材およびZ材)で比較してみました。下記グラフでお判りの通り、パッドの摩耗は使用する温度に対して二次曲線的に比例し、高い温度域で使用すればするほどその摩耗は激しくなります。ノーマルパッドは、150℃以下での使用ではその摩耗が非常に少ないのに対し、300℃以上での使用ではスポーツパッドの倍以上摩耗することもあります。但し、ノーマルパッドは300℃以上になるとフェードが始まり、実質的には効力面で使用不可能なレベルに落ちるので、その温度域での激しい摩耗を体感するユーザーも少ないでしょう。スポーツパッドはワインディングやサーキットでよく使用される温度域(250℃~600℃)での摩耗を重視しているので低温域での摩耗はノーマルパッドより劣っています。結論的に一般道だけで使用の場合、「スポーツパッドはノーマルパッドより減りが早い」と言えますが、ワインディングやサーキットでの使用の場合はノーマルパッドより長持ちし、かつ安全なブレーキングができる優れものなのです。