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技術情報

ブレーキに関する知識

ブレーキ鳴きについて

ブレーキ鳴きについてのケーススタディ(2)

続いてブレーキ鳴きに深く関係しているパーツであるキャリパーピストンについてもご説明させて頂きます。キャリパーピストンはブレーキ鳴きだけでなく、ブレーキトラブルに深く関係している部品でありながら、疑われずに素通りされるケースがほとんどです。 まず、キャリパーピストンの図をよく見て下さい。

図のようにキャリパーピストンはピストンシールによってシリンダーボデイに保持されております。そして、このピストンシールの弾性によってブレーキを離した時にパッドが引き戻されるわけですが、このシールの弾力がなくなってくるとパッドとローターの離れが悪くなり、引きずりを発生させます。 また、それだけでなく、振動吸収性も悪くなり、パッド振動をキャリパー本体に伝えやすくなり、鳴きを助長させます。 ピストンシールやダストブーツが重要な部品であること、そしてそれらが劣化すると様々な弊害を招くことを理解して頂けたと思いますが、ほとんどの方が交換した記憶がないと思います。 一般的には走行100,000kmごとに1回交換する必要があると言われますが、お住まいの地域や走行スタイルによっても異なってきます。激しく走る方はもっと交換サイクルが早くなりますし、サーキット走行される方は走行会5回ぐらいに1回の割合で交換するのがベストです。 1度もシール(ブーツ)交換したことがなく、走行距離が伸びている方でブレーキ鳴き等の不具合が発生している方は交換をおすすめ致します。症状が収まる可能性が非常に高いです。


まさかこのような所までブレーキ鳴きの原因があるのかと驚かれる方もいらっしゃると思いますが、この劣化した部品をご覧頂けると納得して頂けると思います。交換した部品を鳴きの原因として疑うことは決して間違いではございませんし、一般的なことだと思いますが、交換した部品のみを疑うことは非常に短絡的なことです。 交換した部品を調べるのと同時に交換していない周辺部品も異常がないかどうか、劣化している部品がないかどうかを調べてみるのがブレーキ鳴きを解決する一番の近道ではないかと思います。