技術情報
ブレーキに関する知識
ブレーキローターの精度について
ブレーキローターのエンジニアリングには厚さ変動(DTV)、ランアウト、平行度、バランスなどがあります。
厚み偏差(DTV・・・Disc Thickness Variation)
ディスク厚偏差(DTV)はブレーキローターの摩擦面の厚さに変動がないかどうかに用いられる基準で全円周に沿って各摩擦面での厚みを計測し、その偏差を表したものです。弊社の基準値は1/100mmです。
ランナウト(Run-out)
これはブレーキローターが車輌に装着された状態で正しく振れがなく回転しているかどうかを測るものです。ローター内側のハブ接触面とパッドが当たる摩擦面の平行度を実際にローターを回転させて計測したものです。弊社の基準値は5/100mmです。赤線部分の平行度をハブ接触面を基準に計測した値です。
MSF(マウンティングサーフィスフラットネス)
ローターのホイール接触面とハブ接触面の平坦度を実際にローターを回転させて計測したものです。弊社の基準値は5/100mmです。
赤線部分の平行度をホイール接触面を基準に計測した値です。
平行度
平行度は摩擦面全体に先細あるいは先太が生じていないかどうかを確認する為に行う検査で、摩擦面全体で放射状に測定致します。弊社の基準値は2/100mmです。
バランス
ブレーキローターを回転させたときに重量偏差がないかどうかを確認する為の検査です。
回転部位に偏差があると、振動を起こしたりするので、切削もしくはバランスウェイトを取付ける等をおこないバランス不良を改善致します。これは純正ノーマルディスクでも採用されている手法です。
以上の要件の内一つでも狂っていたり、許容値を超えていたりするとブレーキジャダーを引き起こしたりしてスムーズで確実なブレーキングを得られなくなります。また、その他にも大事なエンジニアリングとして、ブレーキローターの摩擦面には2次機械加工を施してブレーキパッドの摩擦材面との馴染みを良くし、新品時から安定したブレーキ性能が発揮できるようにしております。またローターの取付面と熱発生摩擦面との間の接合グルーヴにも工夫を施し、熱放散を最適化することによりローターの歪みをなくし、さらに確実な平行度の実現にも貢献しております。弊社では生産工程の最終検査段階で上記の品質検査を全量全品行っておりますので皆様に安心してお使いいただけるブレーキローターを供給し続けております。