技術情報
ブレーキに関する知識
ディスクローター編
ブレーキローターの材質について
ローターに使われる材質にはカーボンと鋳鉄とに大別されます。カーボンは熱に強く、非常に軽いといった利点がありますが、その分非常に高価なのでF-1等の一部の競技用としてしか使われておりません。一般的に使われているのは鋳鉄品で素材の中に含まれる黒鉛の形態によってねずみ鋳鉄(FC鋳鉄)/CV鋳鉄/ダクタイル鋳鉄の三つに大別できます。ねずみ鋳鉄(FC鋳鉄/片状黒鉛鋳鉄)は加工性に優れ、摩耗に強く、大量生産しやすいといったメリットがあり、純正品に多く採用されています。弱点として高温域(600℃以上)での激しい温度の上昇/下降を繰り返すと変形したり、クラックが入ったりすることがあります。 ダクタイル鋳鉄(FCD)は素材的には非常に優れた材質であり、鋼に匹敵する引っ張り強さを持ち、耐熱性(鉄の成長しにくさ)も高いです。代わりに表面硬度は柔らかく、ローターとして使用すると異常摩耗を起こしたり、また発熱性も高いのでブレーキの異常発熱を起こしたりもします。
CV鋳鉄(いも虫状黒鉛)は素材的にはねずみ鋳鉄(FC鋳鉄)とダクタイル鋳鉄の中間的な性質を持ちますが、製造工程における品質管理が非常に難しく、品質がねずみ鋳鉄(FC鋳鉄)になったり、ダクタイル鋳鉄になったりと安定させるのが大変困難であります。弊社では幾度にもわたる実車テストの結果からねずみ鋳鉄(FC鋳鉄)に特殊添加剤を加えたものを採用しています。純正品はFC(強度を表す単位)150~200といった強度のものがよく使われますが、弊社ではFC200~250の強度のものを使用して耐久性を高めるとともに、添加剤に工夫を施し、より熱変化に強いローターを提供しております。もちろん、精度、バランスが高レベルであることは言うまでもありません。