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ブレーキシュー交換のすすめ from 谷川達也
若かりし頃はフォーミュラも乗りこなし、近年では各種GTレースに出場し、今も第一線で活躍中の谷川達也選手。スーパー耐久(S耐久)にはデミオで出場中で、DIXCELユーザーの一員でもある。
”ハコ車マイスター”とも言える谷川選手にはブレーキパッドでは無く、”ブレーキシューの重要性”について一風変わったインタビューを敢行。
その答えに、今まで見逃していた点が浮かばないだろうか・・・?
Q.ドラムブレーキの交換の重要性とは?
A.ドラムブレーキは外から見えないので、交換の意識が行き届かないユーザーが多い。そのために純正のままで良いのではと考えがちだが、それはNG。フロントブレーキの強化だけでは前後のブレーキバランスを崩してしまい、特にフロントタイヤの負担を大きくしてしまう。またリヤブレーキはサーキットだけではなく一般道におけるブレーキングでも非常に重要な働きをしている。制動距離を短縮するだけではなく、車体を安定させる役割をも担っている。安全性を向上させる意味でもフロントとの同時強化は大切。
Q.サーキット走行において、ノーマルとどのくらいの性能差が表れるか?
A.自分はS耐久においてST-5クラスのDJデミオに乗っているが、ノーマルのブレーキシューは耐熱性に乏しくまず持たない。しかし「RGS-type」に交換しておけば最もブレーキに厳しいツインリンク茂木でも制動力の変化はなく5時間走り切れる。効きの安定=ラップタイムへの影響が少なくかつコントロール性が良いということに繋がる。サーキット走行をする場合はスポーツ走行であっても必ず交換することをお勧めする。
Q.前後同時交換でタイムアップにもつながるか?
A.フロントブレーキだけではタイヤを痛めてしまうので、4輪タイヤのグリップを効率よく使ってのブレーキングを行わねばならない。また制動力も重要だが、我々プロドライバーはコーナーリング中も細かなブレーキングで姿勢制御を行っている。鈴鹿サーキットでは顕著になる。よって効きとコントロール性の両方を持ち合わせたブレーキが理想といえる。フロントブレーキのみの交換でそれは成し得ない。
Q.セッティングの優先度合いは?
A.制動力とコントロール性を持ち合わせたブレーキが決まってからでないと、ダンパー調整が行えない。先にダンパー調整を行ってからブレーキパッドをチョイスすると、再びパッドに合わせたダンパー調整を行う必要が出てくる。ブレーキ性能を把握したうえで脚周りを合わせ込んでいく方が短時間でセッティングを煮詰めることができるので、そういった面においても重要度合いは非常に高い。
以上のように、ブレーキシューの交換は非常に重要かつメリットがあることを谷川選手は実証している。ドラムブレーキ車はフロントブレーキの強化だけに目が行きがちだが、ブレーキシューも強化することで、悩んでいたセッティングが解決する手立てになるかもしれない。前後ブレーキバランスやセッティングに悩んでいる方には是非、DIXCELのRGSを試していただきたい。
谷川 達也氏 経歴
- 2000年全日本GT選手権 GT300クラス参戦
- 2001年全日本GT選手権 GT300クラス参戦
- 2002年全日本GT選手権 GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦(2戦中2勝)
- 2003年全日本GT選手権 GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦 クラス4シリーズチャンピオン
- 2004年全日本GT選手権 GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦
- 2005年SUPER GT GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦
- 2006年SUPER GT GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦
- 2007年スーパー耐久レース参戦
- 2008年SUPER GT GT300クラス参戦,スーパー耐久レース参戦,RX-RACE全戦全勝他
- 2009年SUPER GT GT300クラス参戦,スーパー耐久レースST-4シリーズチャンピオン,マカオGPロードチャレンジクラス総合2位(クラス優勝)
- 2010年マカオGP参戦,ヴィッツレース参戦(3位)
- 2011年マカオGP参戦(2位)
- 2012年マカオGP参戦,スーパー耐久レース参戦
- 2013年アジアンルマンシリーズ5位,マカオGP参戦,スーパー耐久レース ST-5クラス参戦
- 2014年アジアンルマンシリーズチャンピオン,マカオGP参戦,スーパー耐久レースST-5クラス3位
- 2015年SUPER GT GT300クラス参戦,アジアンルマンシリーズ参戦,スーパー耐久レース ST-5クラス参戦,セパン12時間耐久レース(クラス2位)など