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ブレーキパッドとブレーキローターは同時交換する方がいい?
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よく受ける質問ですが、当然同時交換が望ましいです。
但し、新車時にノーマルパッドの性能が不満でパッドをグレードアップさせる場合などローターが全く摩耗していない状態の時は交換する必要はありません。 逆にローターが減っている状態(ローター表面がレコード盤のようであったり、あるいはエッジが立っているような状態)であれば、必ず交換する必要があります。
ローター摺動面(パッドの当たる箇所)の外側、内側をご覧下さい。
エッジ(角)が立っているのが、お判りだと思います。簡単にイラストにすると次の通りになります。
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エッジが立った状態になるとパッドが当たる箇所は赤い○で囲んだ部分のみです。この場合、もちろん効きも悪く、ブレーキ鳴きも発生しやすくなります。
制動力はブレーキパッド、ブレーキローターのふたつで生み出すもの。どちらか一方でも万全な状態でなければ、本来の性能は発揮できません。
■ 新品ローター
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■ 交換が必要なローター
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擦り減ったり、表面状態の悪いローターとの組み合わせはブレーキの効きが悪いだけでなく、
ブレーキ鳴きも引き起こします! パッドとローターは常に同時交換をお勧め致します。
寿命を超えたブレーキローターの使用はキケンです!
「ブレーキローターは鉄だから減らないでしょう? パッドだけ交換すればいいんじゃない?」とか 「別にサーキット走行しないし、一般道を安全速度で走行しているので大丈夫じゃないの?」とお考えのあなた!
愛車のブレーキローターをじっくりと見たことがありますか? ローター表面がレコード盤のようであったり、クラック(ひび)が入っている状態であれば当然、交換の必要はあります。 また、ローター表面が綺麗に摩耗していてもローターの外周部分(エッジ)が立っていれば、継続使用は非常に危険であり、同じく交換 の必要があります。
なぜローター交換の必要があるのか。それは『摩擦熱』と『熱容量』に大きな理由があります。
「ブレーキング」とは?
ブレーキペダルを踏むとブレーキパッドとブレーキローターは摩擦を起こします。
その摩擦が運動エネルギーを熱エネルギーに変換させ車を安全な速度まで減速することを可能にします。これがブレーキングのメカニズムで、この時に発生する「摩擦熱」がポイントです。
ブレーキローター/ブレーキパッドと摩擦熱量との関係
ディスクローター/ブレーキパッドには蓄積できる『熱容量』があります。
仮に新品のローター/パッドの熱容量を『100』とすると、ローター/パッドの摩耗が進むとその熱容量は『90』→『80』→『70』・・・と低下します。
そして、ローター/パッドで蓄積出来なくなった熱はキャリパーやブレーキフルードに伝わり様々な熱害を引き起こします。
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熱害の症状とは
熱害の代表的な例として以下のような症状があります。
- キャリパーの開き
- ローター/パッドの早期摩耗
- ローターのひずみ、クラック、段減り
- ブレーキフルードのベーパーロック、ブリードスクリューからの液漏れ
- ブレーキパッドのバックプレート(裏板)の湾曲による摩擦材の剥離現象
熱害を最小限に抑えるためには、普段からのローター/パッドの摩耗状態の確認が最も重要となります。なお、熱害の予兆を知るのに有効なキャリパーサーモシールを弊社では発売致しております。
ローター交換の目安は?
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フロントローターの場合、おおよそ片側1mm(総厚で2mm)、リヤの場合で片側0.5mm~0.75mm(総厚で1~1.5mm)です。
摩耗限界値(Min Thickness)は、各ローターに「MIN TH ○○」と刻印されています。(摩耗限界値は品番によって異なりますのでご注意下さい。)なお、弊社のSDローターのフロントはスリット溝の深さがおおよそ0.75mmです。その為、スリットの溝がなくなる頃がローターの交換時期の目安となります。
交換時期を超えての使用は大変危険です。あなたの愛車も一度チェックしてみては?